Sep 26, 2009
自己犠牲が多くの看護師求人
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中国における日本アニメ 第6回
(1)なぜ、中国の動画サイトでは正規版の日本アニメが少ないのか
現在、中国のオンライン動画サイト業界では「正規版化」が進んでいる。動画サイト各社は中国国内および海外のコンテンツホルダー(著作権を所有する企業または団体)と次々に提携し、正規版コンテンツを配信している。最近ではアメリカのワーナー・ブラサースやソニー・ピクチャーズ・テレビジョン、韓国三大テレビ局であるSBSが正規版配信の契約を結んでいる。
背景には、動画サイト各社がこぞって米国での株式上場を行なうか、検討しており、上場企業としてのコンプライアンスが強く求められていること、また、自社の利益を確保するために権利を保持する手法がメジャーとなっていること、したがって、自社の権利が侵害されれば、他社に対して訴訟を起こしてでも必死でその権利と利益を守ろうとすること、などがある。
ところが日本アニメの正規版は極めて少ない。なぜか。
ある中国の動画サイト関係者によると、正規版として配信するコンテンツはユーザーのニーズに合わせて決定するのだという。中国の動画サイトでは、中国自身のテレビアニメや映画が当然のことながら最もニーズが高い。海外のコンテンツでは、米ハリウッド映画、韓国のテレビドラマ、そして日本のアニメだ。米ハリウッド映画、韓流テレビドラマなどに対して、中国の動画サイトが巨額を投じて放映権を獲得する報道が目立つ。日本のアニメではそうした事例がほとんど無いのが現実だ。
日本アニメが中国でどの程度人気があるかはアンケート調査からも見てとれる。
サーチナ総合研究所(上海サーチナ)が2011年4月に中国全土の3000人を対象にインターネット調査を実施、「どの国のアニメを見たことがありますか(複数回答)」と聞いたところ、「日本のアニメ」は100%となり、回答者すべてが日本アニメを視聴したことがあるという結果となった。
また、「日本のアニメは好きですか、嫌いですか」という質問では、「凄く好き」が24%、「比較的好き」が53.5%となり、合わせると77.5%が日本のアニメを「好き」としている。中国において、日本のアニメは圧倒的に支持されている。
これらの中国における大きな支持が、今のところほとんど海賊版や違法アップロードに支えられていることになる。一方で、中国の動画サイト側としては、これほどまでに人気のある日本アニメの放映権獲得に興味が無いわけではなく、非常に乗り気な面もある。しかし実際には、正規版が少なく、海賊版(違法アップロード)が圧倒的に多い。なぜなのか。
二つのケースが考えられる。一つは、動画サイト側にそもそも正規版を獲得しようとする意思がなく、不正にアップロードされたコンテンツを放置しているケース。二つ目は、動画サイト側が正規版の放映権を購入したくても出来ないケースだ。
一つ目については説明するまでもないだろう。これが違法アップロードの温床となっている。
二つ目については、このようなケースが実際にあるのかと、半信半疑の方も多いかと思うが、これは実際に問題になっている。正規版コンテンツを積極的に扱う動画サイト関係者によれば、日本アニメ業界特有の“ある仕組み”が放映権獲得の障害になっているという。
(2)権利関係を複雑にする「製作委員会方式」
日本のアニメ業界には「製作委員会方式」というものがある。Wikipediaによれば、「製作委員会方式」とは「アニメなどのテレビ番組や映画を製作する際のさまざまなリスクを回避するための方式・手法のひとつであり、現在の主流の方法となっている」「アニメ・映画などのエンターテイメント作品の製作にあたっては多額の費用を必要とする。作品がヒットすれば多額の利益がもたらされる一方、興行が不振に終わった場合には大きな負債や関連商品の不良在庫を抱えるリスクが存在する」「近年の(特に、キー局における)テレビアニメの本数の増加もこの製作委員会方式の導入によるところが大きい」。
つまりアニメ番組等の制作におけるリスクを回避するために、スポンサーが共同で出資し、利益を分配する仕組みが「製作委員会方式」だが、作品の著作権が各出資スポンサーに分散されるため、権利関係が複雑になる。
そのため、中国の動画サイト企業が日本アニメの放映権を購入しようとしても、複雑な権利関係が障害になって契約に至らない可能性がある。権利者の一人がOKを出しても、別の権利者がNOといえば、交渉は頓挫してしまうからだ。
(3)アメリカ企業はどう対処しているのか
その点、アメリカは権利関係が明快になっている。弁護士の福井健策氏によれば、「ハリウッドの会社はあらゆる権利を一社で保有することにこだわる」「米国では映画業界に限らず、作品の権利が分散してコントロールできなくなることへの抵抗感は強い。それがしばしば、『オールライツ』一元管理へのこだわりとなって表れる」という。(引用元:骨董通り法律事務所 for the Arts)
実は中国および韓国も権利関係を明快にしており、そうしたことが中国動画サイトとの提携をスムーズにしていると考えられる。
(4)中国市場は不毛な砂漠か、それとも黄金が眠る大陸か
中国には海賊版が多い。しかし中国は、人口およそ13億人を抱えた市場でもある。CNNIC(中国インターネット情報センター)によれば、2010年12月の時点で、中国のインターネット人口は4億5700万人。中国動画サイトのユーザーは2億8400万人にのぼる。市場の規模は大きい。ワーナー・ブラサースやソニー・ピクチャーズ・テレビジョンもこの市場規模に魅力を感じたのだろう。いまは中国動画サイトと手を携えて、市場開拓に励んでいる。
中国市場を不毛な砂漠と見るか、黄金が眠る大陸と見るかは、人それぞれだろう。海賊版も、見方によっては、正規版の人気を示す証拠と捉えることができる。要は考え方だ。
日本アニメ業界にとっても、中国市場に切り込んでいくことは選択肢のひとつだ。もしそうするのであれば、日本アニメは自らの体質を変える必要が出てくる。“権利関係を明快にすること”も課題のひとつになる。(編集担当:森川慎一郎・サーチナ総合研究所研究員)
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