Jul 14, 2010
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【ロンドン】欧州連合(EU)域内の銀行が南欧諸国の企業や個人に対し、巨額の融資を抱えていることが明らかになり、トラブルを抱える欧州の銀行システムにとって政府債務(国債)以外にも潜在的なリスクがあることが浮き彫りになった。
これは先週末15日に公表された欧州域内金融機関の特別検査(ストレステスト)で判明した。
ストレステストは表向きには銀行システムが驚くほどに健全であることを示している。金融機関約90行のうち、不合格となったのはわずか8行。2年間にわたって景気下降となった場合を想定した場合、これら8行は自己資本比率(狭義の中核的自己資本)5%を維持できないと判定された。このように不合格行が少なかったため、多くのアナリストはストレステストが十分に厳しくないと批判している。
しかしストレステストを実施した欧州銀行監督機構(EBA)当局者は、テスト実施の本当の価値は各行がバランスシートについて提出を義務付けられた約3200件に上るデータの山だと指摘。これにはさまざまな形態の融資や証券類など国別の債権の内訳が網羅されている。
1年以上にわたる欧州債務危機では、投資家やアナリストはおおむね、銀行の抱えているギリシャ、アイルランド、ポルトガルなど高債務国発行のソブリン債(国債)保有を懸念していた。これらの国が仮にデフォルト(債務不履行)に陥った場合、銀行など国債保有者は大きな損失を被るからだ。
しかしストレステストの内容は、もう一つの潜在的な問題を浮き彫りにしている。つまり、こうした高債務国において企業や個人向けに供与している住宅ローン、小企業向け融資、法人貸し付け、商業不動産融資が巨額に達していることだ。こうした南欧など周辺諸国が苦悶するなかで、デフォルト増加の公算が高まっている。
ストレステストに伴うディスクロージャー(情報公開)に関するウォール・ストリート・ジャーナルの分析結果によれば、銀行は国債よりも、商業・リテール(小口)融資をはるかに大量に抱えている傾向がある。
今年のストレステストは、こうしたエクスポージャー(リスク含みの債権)を統一的な方法で把握した初めての測定結果だ。これまで、銀行は困難に陥っている諸国での融資ポートフォリオを断片的にしか公開していなかった。この結果、業界全体の統計収集は事実上不可能で、異なった金融機関の比較も不可能だった。
中でもフランスの銀行が最もエクスポージャーが大きいようだ。
12月31日時点で、BNPパリバ、クレディ・アグリコル、BPCEグループ、ソシエテ・ジェネラルのフランス4大銀行が抱えているポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン5カ国の企業や個人向け債権総額は約3000億ユーロ(約33兆3000億円)。これは一部のフランス銀行がギリシャ、イタリア、スペインに大きなリテール・商業銀行業務を展開していることが主因だ。
フランスの銀行が抱えるこれら商業・リテール融資総額は、国債保有額をはるかに上回っている。例えば、本紙調査では、フランス4大銀行のスペイン向け融資額は約510億ユーロ。これに対し本紙紙が金融調査会社SNLフィナンシャルに委託したストレステストに関する別個の調査結果では、4行の抱えるスペイン国債保有額は150億ユーロにすぎない。またギリシャではフランスの銀行の各種融資総額は330億ユーロで、ギリシャ国債保有額の3倍以上だ。
ドイツについても同様のことが言える。ストレステスト対象となったドイツの12行はギリシャ、アイルランド、イタリア、スペイン向け商業・リテール融資を1740億ユーロ抱えていると発表された。SNLによれば、これに加えて12行が抱えるこれら5カ国の発行した国債保有額は700億ユーロとなっている。
またドイツ12行の抱えるエクスポージャーのうち半分以上は2大銀行のドイツ銀行とコメルツバンクが保有している。ドイツ銀行はスペインでの住居用抵当融資75億ユーロを含めて5カ国で800億ユーロ近く保有している。同行はEBAが想定した最悪シナリオの下での自己資本比率は6.5%で合格となった。同行は15日、自己資本比率目標に向けて「十分に準備されていると考えている」とコメントした。
ストレステストは南欧とアイルランド5カ国での経済下降シナリオでの銀行の融資と非ソブリン債債権に対する影響が検討されたのは事実だが、多くのアナリストは、同テストが甘すぎると批判的だ。例えば、EBAの最悪シナリオでは、ポルトガルの失業率は今年11.6%、来年12.9%と想定しているが、現在の失業率は既に12.4%に達している。
実際、ストレステストは問題諸国における一部銀行の融資保有額を過小評価している。これは、EBAが銀行に対し、全融資総額の5%を上回った場合にのみ融資の内訳を公開するよう義務付けているためだ。
この結果、一部の銀行は融資ポートフォリオの詳細を公表しない選択をした。例えば英ロイズ・バンキング・グループはアイルランド銀行業務を閉鎖する過程にあり、何十億ポンドという融資損失を計上する見通しだ。しかしストレステストでは同行は英国と米国以外の諸国の融資内訳を公開しなかった。
ロイズのスポークスマンは、同行のアイルランド融資は「その他」という全体的な範ちゅうに含まれていると述べている。
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